国税庁が再び生命保険に大なた

未分類

2021年3月12日(金)国税庁から生命保険協会に対して「法人定期保険契約等に係る権利の評価の見直しについて」の連絡がありました。

2019年2月13日のいわゆる、バレンタインショック以来、またもや大なたを振るうことになりそうだ。

法人保険の定期保険を個人に名義変更した際の給与課税につき、見直しを検討している。現行は給与課税すべき経済的利益を一律解約返戻金で評価しているが、これを、解約返戻金が資産計上の7割未満の場合は資産計上額で評価するよう見直す方向。

元々、法人から個人に名義変更する、スキームはかなり前から存在し、私はこのプランに大きな疑問を感じていました。

ご存知でない方に簡単に説明しますと。会社が契約者になって貯蓄性のある保険に加入します。契約後4年位はほとんどお金が貯まっていません。法人から個人に契約者を変更する場合、法人から個人へ譲渡という形になります。その時の譲渡価格は解約返戻金になる訳です。ほとんど解約返戻金がないうちに個人へ譲渡。その後いきなり解約返戻金が増加、お金が増えた段階で解約して、個人がお金を受取る、こんなスキームです。

要はごく僅かな金額で個人が法人から買取り、その後急激にお金が増える。その期間に合わせたような商品を一部の保険会社が作り販売ざっとこんなスキームです。

保険設計書には将来に向けての、解約返戻金の推移が、確定の数字として明記されており、名義変更後にそれ以前より遥かに大きな額が個人名義に移されることは火を見るより明らかである。会社で保険料を損金で落としながら、個人へ名義変更して貯まった解約返戻金を個人で受取る。以前は支払い調書には名義変更の有無の記載もなかったので税法上もかなり有利でした。

保険会社は個人に移した後、1回だけは個人で保険料を払って下さい、などと、かなり姑息なアドバイスもしていました。

このようなことが社会通念上、許されることだろうか? 例えば街頭で普通のサラリーマンに、「中小企業経営者が会社で保険料を損金に落としながら節税して、個人に移して貯まったお金をもらう」これはどう思いますか? こんな質問をする。

もしかしたら、年収1500万以上もらっている高級サラリーマンと、年収500万の普通のサラリーマンとでは、回答が違うかもしれないが、一般的には「とんでもないこと」こんな回答が、多いのではないでしょうか。

もちろん経営者は日々、売上と利益の確保、月末には社員の給与を含めた資金繰り、サラリーマンに比べれば、大きな責任と危機感、将来へな大きな不安を背負っているに違いありません。これは事実です。

考え得る防衛手段、資金の確保を、最大限に実行しておかなければならないのも事実です。

何も自分の為に使うお金ではない! 合法の範囲での節税や貯蓄は必要である。こんな声が聞こえて来そうである。

もちろん、重々理解できます。全くもって否定はしません。ただ、特に最近、政治家と一般社会とのズレ、認識のギャップなどが話題になります。政治家の行動や金銭感覚が、あまりにも世間とズレしているのではないか?

我々経営者も社会の一員である、あまりにも世間の感覚と違って良いはずがない。

今回の国税庁の動きは、前回2019年の通達後も一部の保険会社が、それ以前の契約の解約返戻金のピークに合わせ、その対応スキームとして提案し契約を行なった節があるため、そのスキームの封じ込めを狙ったと思われるます。いわゆる受け皿としての保険契約です。

一部にはこれで長年続いた。国税庁と保険会社のイタチごっこに終止符が打たれれのではないか。と言われているようです。

前にも同じような、お話をしましたが。やはり生命保険は保障と言う基本概念が、とても大事だと思います。税務署も経営者や従業員に対しての保障は費用化出来るほど大切なもの、と言う判断で一部損金算入を認めているわけです。

この保険の原則を、忘れてはいけないのでは、ないでしょうか。

byパンダ