日本一わかりやすい相続の基礎③
法定相続人、法定相続分。 遺留分や減殺請求などの解説をしてきました。
今日は相続での一般的に起こりやすい争いについて代表的なものをお話したいと思います。
年代にもよりますが(最近はお子さんの数が少ない傾向にありますから)子どもの頃、誕生日ケーキの切り方で兄弟喧嘩になった思い出はないでしょうか? 親の分を含めて4つ、5つと切り分ける場合、特に奇数に切り分けるのはなかなか難しいですね(笑)
本当に小さい時は「お姉ちゃんの方が大きい、ずるい〜」泣き出してしまう事もあります。
誕生日ケーキの分け方でも兄弟喧嘩が起きてしまうものです。しかもケーキは若干の差はあれほぼ均等に分けることが出来ます。
数十年後、今度は親の財産を分ける時が来るわけです。ケーキのように上手く分けることが出来るでしょうか?
民法で厳格に法定相続人、相続分、遺留分などなど決められているので法律通りに分ければ良いのでは?
確かにそうなんです。法律で分け方までキチンと決められているのです。
ただ現実は相続絡みで訴訟になっている件数がこの10年で倍くらいの数になっています(具体的な数字は裁判所のホームページの家事事件の統計を見ていただくとわかります)
何故揉めて、争い事になってしまうのでしょうか?
現実は民法通りにキレイに分けることなど、なかなか出来ないのです。
資産のほとんどが長男が親と同居している住宅、嫁にいった妹や姉達は法定相続分の財産分与を民法通りに主張、現金がない場合は「家を売って皆んな分けましょう」兄は「生まれ育ったこの家を売れって言うのか、お袋はまだ生きているんだぞ」
現実にかなりよくある話です。
更に厄介なのは父親の会社を長男が継いだが、不動産や株はほとんど父親名義、最近は自社株は早めに対処している例も増えましたが、都心の不動産はかなりの資産価値です。
資産のほとんどが事業を継続するために不可欠な株や不動産、長男としては手放す訳にはいかない、他の兄弟姉妹は民法通りに当然分けて欲しい、スムーズにいく方が不思議です。
相続対策には「納税資金対策」「資産の圧縮」「争う相続対策」最後の「争う相続対策」が最も厄介なものです。
最後に訴訟の中で資産1000万以下というものが最も多いという事実です。
何億、何十億という資産を持ってる人は事前にそれなりの対策を考えている場合が多く、相続人もある程度の額を相続出来ればそのほど不満はないのでしょう。
都心に80坪の自宅があるだけで相続税も改定になった今、相続について考える必要があります。
少ない資産を巡って争う。正に子どもの頃のケーキの奪い合いの様です。
written by パンダ