生命保険の色々な特約②
リビングニーズ特約というのがあります。最近はほとんど話題になりませんが、出た当時はかなり注目を集めました。
米国の保険会社が例外的に顧客に行ったことが全米で話題となり、ついに商品になったのです。
その保険会社の会長がエイズ患者を慰問した際(当時は不治の病で治る可能性がありませんでした)1人のエイズ患者が私は半年以内で間違いなく死ね、お宅の会社で生命保険に加入しているので、亡くなるのはわかっているので、今そのお金を私にくれないですか?
それは悲痛な彼の最後の望みでした。詳しく聞くと友達に借りたお金を返したい、遠くにいる母親に会いたいなど、叶えられたら良いと思う願いでした。
会長は直ぐ役員会を開き、彼の保険金を支払う決定をしたのです。これが全米でニュースになり、あまりに反響が大きかったので特約として商品化されたのです。
すぐに日本の現地法人の保険会社も、発売を検討しましたが金融庁(当時の大蔵省)の抵抗があったと聞いています。
生きているうちに自分の保険金を受取るなど日本人は馴染む筈がないという見解だったそうです。まあそれでもなんとか発売にこぎつけ、今ではこの特約のない保険会社はないくらいです。
保険料は掛かりません。無料です。
余命半年の宣告を受けると3000万を限度に保険金を生前に受取ることが出来ます。
ただし、この余命半年というエビデンスが必要になります。医師は覚悟をしてくださいという意味で告知しますが、確定ではないことを保険会社に対して書類に印鑑と署名をすることに、基本的には拒否します。その結果本人の請求希望が叶わないこともままあります。
ここで、担当者というのが重要になります。担当医師に直接説明し説得するという行為が必要になるからです。私も何度か経験がありますが、直接面談しても軽くあしらわれると言うか、「まだ亡くなると確定はしていません」ほとんどこの答えです。交渉のポイントは6ヶ月を過ぎて存命でも保険金の返還義務もなく、もちろん判断した医師の責任も全く問われない事、そして一番のポイントは患者がこの保険金を受取ることの大きさを理解いただくことです。
色々と保険金の使い道はあると思いますが、本人が受取るのですから、本人の為になる使い方が良いと思います。
高額な最新の治療に使い、ガンを治してしまう、現在は高額だが有効な治療があります。ただ高額が故に誰でも治療を受けられるわけではありません。自分の保険金で高額な治療を受け、完治出来るのあればこんな素晴らしいことはありません。正に「生きる為の保険」保険会社はこんなキャッチフレーズを挙げています。
自分の死を受け入れ、家族との最後の時間に使う方もいらっしゃいます。実話ですが死を決意しリビングニーズを請求しそのお金を前向きなことに使った結果、完全にガンが完治した人がいます。今は末期ガン患者に対して自分の経験を活かしボランティア活動をされているようです。その方の講演を聞いたことがあります。
もちろん、ガンが完治するというのはそうそうある事ではないでしょうが、自分と家族のために保険金を使うというのは、本来の生命保険の価値あることだと思います。