今でも保険で節税は可能か?

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現在では保険業界で「節税」という言葉自体お客様に使うことを禁じられています。

節税話法、節税売りという言葉が長い間保険会社の中で使われて来ましたが、2019年2月のいわゆるバレンタインショック以降、業界全体でかなり厳しく規制が入り、お申込みいただく際に、わざわざお客様へ電話で「節税にはならないことをご承知ですか?」という確認までとる会社もあります。

では現在の保険商品と税制で、節税という概念は存在するのでしょうか?

2019年2月の税制改正は一般の方にとってはかなり複雑でわかりにくいのですが、代表的な例でなるべくわかりやすく解説したいと思います。

税制改正前のいわゆる、保険料を費用計上出来てお金も貯まる。という理屈を現在の税制で考えた場合。

最大限費用計上可能な金額は保険料の40%です。

ただし40%損金を可能にするには、解約返戻率がピーク時で85%までという制約があります。

言い方を変えると、最大返戻率が85%なら保険料の40%を損金計上出来る、と言うことです。

ではこの返戻率85% 損金40%が得なのか損なのか?

1番のポイントは契約者の法人税の税率でしょう。

以前はほとんどの保険会社が法人税率を40%に設定し、それを加味した「実質返戻率」なるものを設計書上に表示しメリットを訴えていました。

しかし法人税も当然「累進課税」です。800万を超える部分に最高税率が課せられます。従って当時も平均したら40%課税される中小企業はほとんどなかったはずです。

現在は法人税は下げられ最高税率はおおよそ33%位です、こちらも800万以上の利益に対してなので、本当に大雑把な計算ですが25%位が(事業規模や売上によっては20%位もあります)一般的な中小企業の税率ではないでしょうか。

いかがでしょう? 皆さんのイメージよりは低い税率ではないでしょうか。

もう1つのポイント、返戻率85%

85%も返って来る。85%しか戻って来ない。どちらのイメージが強いでしょうか? 

純粋に万が一の時の保障が必要で、保険に加入したが資産が沢山出来てもう保険に頼ることもなく必要なくなった。そんな時解約したら85%返って来たら、85%も返って来た。と感じるかもしれません。

節税目的でお金を減らしたくはないと場合はどうでしょう?もちろん人それぞれ考え方は違うと思いますが。

税金を減らすために経費を作る目的で1000万の保険料の保険に入った。以前にも同じ例え話をしましたが85%の返戻率だと1000万の領収書を150万円で買ったこと同じことになると思います。

では、1000万の利益を保険に入らない場合と入った場合のキャッシュフローで比べてみましょう。

保険に加入しない場合は単純に1000万の利益に25%の税金250万かかり、750万のキャッシュが残ります。

1000万の利益で保険料1000万の保険に加入します。40%経費になる最高返戻率85%の商品です。加入したことによって利益は600万に圧縮され税金は120万、税金80万減りました。確かに保険に加入することにより80万円の節税が出来ました。

ただ最高返戻率85%なので1000万が850万に減ってます。税金は80万減りましたが、キャッシュ自体150万減っているわけですから差引で70万マイナスです。

要は80万の節税が出来ましたが、150万で領収書を買ったので税金120万と150万の領収書代を(1000万が850万に減ったと言う意味です)足して270万、1000万−270万でキャッシュは730万円です。

保険に加入しない場合は750万、保険に加入して40%損金計上し解約返戻率85%だとキャッシュフローは730万、結果的に20万減っています。

結論は80万円の節税は出来たがキャッシュフローとしては750万と730万、保険に加入しない方が20万多く残ります。

ただ重要なことがあります、1000万円の保険料を払うかなり高額な保険に加入出来ます。年齢によりますが1億以上の保険になるはずです。年間20万月々にすると1万円台の保険料で1億以上の保険に入ったことになります。これはかなり大きいことです。

続きもあります、節税が目的で損得を考えた場合、1000万の保険料はこれから最高返戻率85%になるまでは毎年毎年払い続けなけばなりません。

そして最高税率85%のタイミングが解約してお金を戻してもらいたい会社側のタイミングと合うとは限らないということもデメリットの1つです。

変更後の税制ではある年数経過後(保健期間の4割を経過後)は60%損金資産計上40%という経費処理に変わり、最後は資産取り崩しで全額損金になりますが、加入後かなりの年数が必要で既に時遅しです。

やはり節税が目的でより多くのキャッシュフローを残す目的なら生命保険加入はほとんど意味がないのではないでしょうか。

written by パンダ