美術品・骨董品の相続について

お金・税金 美術品・骨董品

今日のお客様は、他界した父が残した遺産の美術品や骨董品はどう対応するのが良いのでしょうか?という事でご相談に来られました。

基本的な事ですが、
絵画や版画、掛け軸、陶器、ブロンズなどの美術品・骨董品といったものは、
お金に換えることが出来るので相続財産になります
一言で言えば、美術品・骨董品は相続税がかかる財産になります。
上記を踏まえて、少しアドバイスします。

1.【相続税の基本的な事】
2.【具体的には幾ら以上の遺産があると相続税が発生しますか?】
3.【美術品や骨董品の鑑定は必要でしょうか?】
4.【税務署に言わなくても大丈夫でしょうか?】

1.【相続税の基本的な事】
相続税の対象になる人ってどんな人ですか?
相続税を払う人って実はそんなに多くないんです。
相続税は遺産相続があったときに課税されますが、実際に課税される方は5%以下にとどまります。
税率は10%から55%の範囲で定められています。
実質的な負担割合である実効税率はこれより低い数値になります。

2.【具体的には幾ら以上の遺産があると相続税が発生しますか?】
税制は年々変化します。
5,000万円 +( 1,000万円 × 法定相続人の数 )でしたが、平成27年1月1日以後は、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)によって導き出される「基礎控除額」が設けられています。
つまり、夫婦、子供2人の場合でお父さんが亡くなった場合
3000万円+(600万円×3人ですので1800万円)合計4800万円以内の場合は相続税を払う必要はありません。
実際、相続税が課税されるケースは全体の5%以下と言われています。
まずは、美術品・骨董品の存在や価値にとらわれるのではなく、
相続する財産全体を把握するように努めてください。

3.【美術品や骨董品の鑑定は必要か?】
購入価格が数千万万円、数億円の美術品や骨董品であれば、相続税を計算する必要があります。
後の調査で税務署から指摘を受けて、とても高額な追徴課税を受ける事もありますし、額が大きい場合は、逮捕さててしまう事もあります。

更に、令和に入ってから顕著に出てきた問題として平成時代に買った現代美術が大きく買った金額を上回っている事も多々あります。
例えば、20年ほど前に草間彌生さんの作品を50万円で購入していたのですが
今は、相場がどんどん上がって、3000万円以上になっていた。
そんな話は沢山あります。
相続人が複数になる場合に、購入金額で平等に分けたつもりが、
兄は500万円、弟が1億円なんて事にも成りかねません。
後々、大きく損をした事が分かった時に、家族間の大きな問題になります。
仲の良かった兄弟がそのような問題になって、一生修復は不可能と思えるような状態になった方を知っています。
そのような事にならない様に、精通者(美術商などの専門家)による査定(鑑定)を受けて価値をはっきりさせ、
平等になるよう分配する事をお勧めします。
査定(鑑定)を受ける場合、専門の鑑定士に依頼する事になりますので、ある程度費用も必要になってきます。
美術品や骨董品の価格より、鑑定費用のほうが高額にるケースも珍しくありません。私の画廊の花田美術では、正式な査定書を提出する前に、鑑定費用のほうが高額になるような場合は、事前にお伝えしています。
そのような対応をしてくださる画廊も沢山あると思いますので、依頼する前に確認すると良いと思います。

いずれにしても、後になって相続争いが起こる可能性もありますので、最初から査定(鑑定)を受けておくほうが安心かもしれません。

4.【税務署に言わなくても大丈夫でしょうか?】
高額な美術品や骨董品を購入したり、所有していた事を税務署がきちんと調べます。
以前誰かに見せていれば、その人から更に人づてにあの家にはこんな美術品があったなどという事を聞いているかも知れません。
したがって、美術品・骨董品を所有している場合には、税務調査が行われる可能性もあります。