凄い営業

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私は百貨店の外商さん(お帳場と呼ぶところもありますね)との付き合いが、昔からあります。もう定年されてしまいましたが、印象深い外商マンのお話を、したいと思います。

その方はトップセールスマンで、何でも売れる方でしたが、特に美術品の販売は抜きに出ていました。

ある時ペルシャ絨毯を外商をあげて販売することになり、岡山にある取引先まで、外商マン全員で販売研修に行く、と言う位に力を入れた、キャンペーンでした。

研修と言うのは名ばかりで、夜は宴会が催され、まあ接待が主な研修だったそうです(笑)そんな中で昼間の研修でペルシャ絨毯の製造方法やデザインの意味などに真剣に耳を傾けるAさん、「ペルシャ絨毯とは、何と素晴らしいものなんだ」と感動したそうです。

キャンペーンが始まり、顧客の自宅までペルシャ絨毯を担いで、その素晴らしさを熱く語るAさん(笑)

彼が研修で学んで熱く語っていた話は、(飲んだ席で3回ほど直接聞いたことがあります)次のようなものです。

元々、ペルシャ絨毯は遊牧民のもの、一年の大半は一面の黄色とか、緑色、単色の色の少ない世界を生きているんです。住まいは移動式のパオ(モンゴルではゲルと言いますね)です。羊や山羊を放牧しながら、数ヶ月に1度オアシスを訪れます。

オアシスは泉が煌々と湧き、美しい花々が咲き乱れ、鳥たちが囀り、まあ、何と美しい世界! 色彩に満ち溢れている場所なんです。

遊牧民は何ヶ月かに1度訪れる、この風景を絨毯に再現しパオの壁や床に敷き詰め、また訪れるオアシスに想いを馳せ、日々の苦しい遊牧生活を耐え凌いでいる、人は精神衛生上、色彩が必要なんです! こんな説明を熱く語る訳です。

冷静に考えれば、日本に住んでいる私たちは普段から色彩には触れているのですが、絨毯の図柄はとても美しいので、パオに住んでいる訳ではないのですが、居間に敷いたら綺麗だな、と思うわけです。実際に説明しながら既に、応接間に半分くらい敷かれてます(笑)

最後にたたみかけるように、「この端の方に、縁取られているギザギザ模様は、なんだと思いますか?」こんな質問をお客さんに投げ掛けます(笑) 「これはイヌの歯、なんです」イヌは家畜が迷子にならないよう、集団から外れそうになったものを、吠えたり、噛んだりして中へ戻す役割を担っているんです。遊牧民にとって、イヌはある意味の護り神なんです。

文章だと、どれほど伝わるか、わかりませんが、その人から直接話を聞くと、これがなかなか面白い話で、かなりの説得力なんです。

販売する商品の本当の価値と言うか、商品の効用、「ペルシャ絨毯がもたらす意味」にフォーカスしてプレゼンテーション→クロージング。色々な営業手法があると思いますが「凄い営業力」です。

結果的に数百万円から2千万円位のペルシャ絨毯を担当している、半数位のお客様に、販売したそうです。